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2024.12.27
不動産豆知識
安藤

賃貸事務所は火災保険に加入が必要? 加入しない場合のリスクや保険の種類を解説

賃貸事務所を借りる際、火災保険に入るべきか悩む方もいるでしょう。本記事では、賃貸事務所に火災保険の加入が必要な理由や加入しなかった場合のリスク、保険の種類などを解説します。賃貸事務所の保険で悩んでいる方は、参考にしてください。

 

賃貸事務所では、住宅のように火を使わないことがほとんどのため「火災保険に入る必要はないのでは?」と思う方もいるでしょう。結論からいえば、賃貸事務所に火災保険は必要です。

 

たとえ火を使わなくても、火災が発生するケースがあるからです。また自社から火が出ないように十分気を付けていても、周囲のテナントから出た火が燃え移る可能性もあります。

 

本記事では、賃貸事務所に火災保険が必要な理由や保険の種類、費用の目安などを解説します。

 

賃貸事務所に火災保険は必要?

 

事務所内でストーブやコンロを使うことはなく喫煙もしない場合、火災保険は必要ないと感じる方もいるでしょう。しかし、賃貸事務所でも火災保険に加入した方が得策です。

 

貸主に火災保険の加入を求められる

 

賃貸事務所の火災保険は、法律上では任意です。しかし、ほとんどの賃貸事務所では、火災保険への加入が契約の条件となっています。

 

また賃貸事務所の火災保険加入は法的な義務がないといっても、加入しておかなければ万が一のときに、膨大な金額の損害賠償を請求される恐れがあります。事務所内で火を使わないといっても、火事の原因はタバコやコンロなどからの出火のみではありません。火を使わなくても出火の可能性はあります。

 

賃貸オフィスに多い火災理由

 

オフィスで発生する火災の原因は、蛍光灯やLEDなどの照明器具やコード類、差し込みプラグなどの配線器具からの発火が大半です。

 

例えば、照明器具は長期間使用していると部品が経年劣化し、発熱や発火を起こす場合があります。LEDに適合しない照明器具にLEDの電球を取り付けるなど、照明器具と電球の組み合わせを誤ることで火災につながるケースもあります。

 

また電源プラグとコンセントのすき間に埃がたまり、発火につながるトラッキング現象も、オフィス火災に多い原因です。パソコンやコピー機などの電源プラグはコンセントに差し込んだままになりやすいため、トラッキング現象が発生するリスクが高いです。どのようなテナントでも、身近な場所から発火して電気火災が起こる可能性があります。

自社のためだけでなく、貸主や他社に損害賠償が必要になったときのためにも、火災保険には入っておくべきです。

 

以上の理由から賃貸事務所の火災保険は、たとえ法的な義務はなくても加入が必須と考えましょう。

 

賃貸事務所で火災保険に入っていないとどうなる?

 

「火を使うことがないから」「義務ではないから」といって、賃貸事務所で火災保険に入らなかった場合はどうなるかを確認しておきましょう。

 

自社が火元の場合

 

事務所内で火を使わなくても火災が発生する可能性はあります。万が一、自社が火災を発生させた場合、多額の損害賠償が発生する場合があります。火災の程度によっては、億単位の賠償金が発生する可能性があるため、保険に入っていないと賠償金を全て自社で支払うのは難しいでしょう。

 

他のテナントが火元の場合

 

先述のように、自社で火災を起こさないように注意していても、ビル内の他のテナントから火が出る可能性があります。火が燃え広がれば、自社の事務所にも被害が及ぶかもしれません。

 

その場合、火元側に過失があれば損害賠償してもらえます。しかし、火元側に過失がないと認められた場合は失火責任法が適用されるため、損害賠償を請求できません。火災保険に入っていなければ、自社が火元でない場合でも火災による被害を自社でカバーしなくてはいけなくなります(※)。

 

※:e-Gov 法令検索.「明治三十二年法律第四十号(失火ノ責任ニ関スル法律)」.https://laws.e-gov.go.jp/law/132AC1000000040/ ,(参照2024-12-23).

 

賃貸事務所の火災保険の種類

 

賃貸事務所で入るべき火災保険は主に3種類あります。

 

● 借家人賠償責任保険

● 個人賠償責任保険

● 家財保険

 

それぞれ補償の対象が異なるため、どのような内容か確認しておきましょう。

 

1. 借家人賠償責任保険

 

借家人賠償責任保険とは、事務所の貸主に対する損害賠償を補償する保険です。補償内容は火災だけでなく、爆発事故や破壊なども対象です。

 

万が一、自社が火災を発生させてしまった場合、膨大な金額の賠償金が請求される可能性があります。自社の蓄えだけでは支払えない場合もあるでしょう。そのため賃貸契約を結ぶときは、借家人賠償責任保険を含んだ火災保険の加入が条件となることが多いです。保険の名称は保険会社によって異なることがあるため、契約時に確認しておきましょう。

 

2. 個人賠償責任保険

 

個人賠償責任保険とは、他のテナントに対する損害賠償を補償する保険です。自社が火元となって火災が発生し、周囲のテナントまで延焼した場合、損害賠償を求められることがあります。そのようなときに個人賠償責任保険に入っていれば補償を受けられます。火災だけでなく、ガス爆発や水漏れなども補償の対象です。

 

また窓ガラスを割ってしまったり、所有物を壊してしまったりした場合など、日常のトラブルにも利用できます。

 

3. 家財保険

 

家財保険とは、物件内に置いていた家財の損害を補償するものです。先に紹介した2つの保険は貸主や周囲のテナントに対する保険ですが、家財保険は自社の損害に対して補償してもらえる保険です。

 

火災が発生して、事務所の家具やパソコンなどを全て買い替えなくてはいけなくなると、多額の費用がかかります。家財保険に加入しておけば補償が適用されるため、被害を抑えられるでしょう。

 

補償の対象は保険会社によって異なりますが、爆発や水漏れなども対象となる場合が多いです。契約する際は、補償対象の範囲を確認しておきましょう。ただし、補償の対象となるのは自社の所有物のみなので、コピー機やパソコンなどをリースやレンタルで利用している場合は対象外です。

 

火災保険特約とは?

 

賃貸事務所の火災保険は、借家人賠償責任保険、個人賠償責任保険、家財保険の3つが基本ですが、特約を付けると補償の範囲を広げられます。一般的な火災保険だけでは不安な場合、特約の追加でより幅広いリスクに備えられるでしょう。

 

賃貸事務所の火災保険に付けられる特約を、代表して2つ紹介します。ただし、特約の名称や補償内容は保険会社によって異なるため、ご注意ください。

 

データ損害補償特約

 

賃貸事務所向けの火災保険特約には、データ損害補償特約があります。データ損害補償特約とは、火災などによって大切なデータが失われたときに、そのデータの修復や再作成にかかる費用を補償する特約です。

 

事務所内では顧客や取引先の情報、営業資料や財務関連の資料、社員の個人情報など、重要なデータを多数保管しているでしょう。これらのデータが災害などによって失われた場合、業務に支障を来してしまいます。

 

データが失われたときのリスクに備えたい場合は、データ損害補償特約を検討しましょう。

 

休業損失補償特約

 

休業損失補償特約とは、火災などの災害で事務所を利用できなくなり、やむを得ず休業する場合の補償です。事務所が火災に遭った場合、一般向けの住宅とは異なり、会社の利益に影響します。長期間の休業が必要になれば、大きな損失となるでしょう。

 

休業損失補償特約が付帯した火災保険に加入すれば、火災などで休業を余儀なくされた場合に、本来得られるはずであった利益分が補償されます。補償される金額は、休業日数や粗利益などを基準に算出されますが、限度額もあるため加入を検討するときは確認しておきましょう。

 

賃貸事務所の火災保険の費用目安は?

 

火災保険は払い続けていくものなので、費用がどのくらいかかるか気になる方もいるでしょう。火災保険の費用目安を解説します。

 

賃貸事務所の火災保険料は1年で1~3万円が目安

 

賃貸事務所の火災保険の費用は、事務所の規模や補償内容によって異なりますが、一般的には1年で1~3万円程度が目安です。2年払いにするとさらに割安です。保険料を節約するなら、2年分まとめて支払うのが良いでしょう。

 

保険料は企業によって異なる

 

賃貸オフィスの火災保険料は、企業によって異なります。保険料はフロアの面積や補償内容によって異なるからです。火災保険に入るときは補償内容をよく確認し、自社にとって必要な内容が過不足なく補償される商品を選びましょう。

 

また火災保険に入るときは、補償額を確認しておく必要があります。補償額が低過ぎると、万が一のときにも十分な補償を受け取れない可能性があります。オフィス内の家具・設備・パソコンなどを新たに買い直す際に費用が不足しないよう、必要な補償額を把握しておきましょう。

 

さらに、ビル内のテナント数の把握も必要です。入居しているテナント数が多ければ、自社が火元となって火災が発生した場合に多くの企業に損害を与えてしまうため、損害賠償の規模に関係します。ビルの貸主から火災保険を指定されることもありますが、自社で選ぶときは複数の商品を比較して自社に合うものを選ぶことが大切です。

 

【まとめ】

賃貸事務所は自社に合う火災保険に入ろう

 

賃貸事務所の火災保険に加入した場合の費用は企業によって異なるものの、目安は年間1~3万円程度とさほど高くはありません。火災が発生した場合の損害を考えると、火災保険に入らないのはリスクが高過ぎます。火災などの災害は、いつ起こるか分かりません。自社で十分な防火対策を取っていても、他社のテナントから火が出て自社に燃え移る可能性があります。賃貸事務所はビルのオーナーとも補償内容を相談して、自社に合う火災保険に入りましょう。

 

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