賃貸オフィスの家賃相場は、エリアや立地、社会の動向、空室率、周辺エリアの賃貸オフィスの数や床面積など、複数の要因によって変動します。適正家賃は売上総利益の10~20%とされているので、自社の家賃の目安を把握した上で、ニーズや予算に合った物件を選びましょう。賃貸オフィスを探すとき、一つの基準になるのが家賃(賃料)です。オフィスの家賃は物件によって異なりますが、相場を知らないまま物件を探すと後悔する原因となります。そのため、賃貸オフィスを探す際は適正な家賃の目安を事前にチェックした上で、自社の状況や目的に合った物件かどうかを確認しましょう。本記事では、賃貸オフィスの家賃相場の動向や家賃の目安を確認する方法、家賃に影響を与える要因について解説します。さらに記事の後半では、賃貸オフィスの家賃を安く抑える方法もご紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。【東京・大阪エリアの賃貸オフィスの家賃相場】賃貸オフィスの家賃は、オフィスの床面積の他、地域や立地、空室状況など複数の要因によって決まります。そのため、◯坪のオフィスなら月々◯円と断言することはできませんが、地域ごとにおおよその相場があります。以下では東京と大阪エリアの主要地区における募集賃料の相場(円/坪)をまとめました。なおオフィスの規模は大規模が200坪以上、大型は100坪以上200坪未満、中型は50坪以上100坪未満、小型は20坪以上50坪未満となっています。上記の表を見ると、同じ東京都・大阪市であっても、地域によってオフィス家賃の相場に大きな違いがあることが分かります。例えば丸の内や新宿、梅田といった主要なビジネス地区は、企業の本社などが集中するエリアでもあることから、オフィス家賃は他のエリアよりも割高に設定されています。またこれらのエリアは複数の鉄道路線が交差する好立地であることも家賃が割高になっている理由の一つです。一方、五反田エリアや東・南池袋エリア、南森町、江坂といったエリアは他のエリアよりもオフィス家賃の相場が低めになっています。ただ、その分アクセスなどに難があるケースも多いので、家賃だけでなく他の要素も比較し、慎重に検討することが大切です。【適正なオフィス家賃の確認方法】オフィスの家賃は、毎月定額で支払っていかなければならない固定費の中でも特に大きな割合を占める支出です。収入に見合わない家賃を支払い続けていると経営を圧迫してしまう恐れがあるため、自社における適正なオフィス家賃を確認しておく必要があります。オフィスの適正家賃は、一般的に売上総利益の10~20%以内に収めるのが理想とされています。売上総利益は売上高から売上原価を差し引くことで求められますが、月々の売上総利益には変動があるので、年間の売上総利益を用いて計算するのが一般的です。例えば年間売上高が1億円、年間売上原価が4,500万円だった場合、年間売上総利益は1億円 - 4,500万円 = 5,500万円となります。このうち10~20%を家賃に充てるとすると、年間家賃の目安は5,500万円 × 10~20% = 550万円~1,100万円です。これを月額に換算すると、約46万~92万円が月額家賃の目安となります。もちろん上記はあくまで目安ですが、この範囲を大幅に超えなければオフィス家賃が経営を圧迫するリスクは少なくなるでしょう。【賃貸オフィスの家賃に影響を与える要因】前述の通り、賃貸オフィスの家賃はさまざまな要因によって変動します。物件の家賃が相場より低い、または高い場合は以下の要因による影響を大きく受けている可能性があります。1.周辺エリアのオフィスの数や床面積賃貸オフィスの家賃は室内の床面積に左右されるというのは周知の事実ですが、その物件の床面積だけでなく、周辺エリアのオフィスの床面積にも注意が必要です。ここで言う床面積とは、そのエリアにある全オフィスの床面積の合計を指します。周辺エリアのオフィスの床面積が小さい地域の場合、物件の競争率が高い分、家賃が高くなる傾向にあります。逆に周辺エリアのオフィスの床面積が大きい地域はさほど競争が激化しないため、賃料に与える影響も少ない傾向にあります。同様に、周辺エリアのオフィスの数も賃料の変動に影響を与えるので、候補としている物件だけでなく、周辺エリア一帯の物件の動向もチェックしておくと良いでしょう。2.空室率物件全体の室数に対する空室の割合(空室率)は、オフィスの家賃に大きな影響を与える要因の一つです。空室率が高いオフィスは入居率を上げるために、家賃を下げて集客を図るケースが多々見受けられるからです。逆に空室率が少ない物件は、わざわざ家賃を下げる必要がありません。そのため、周辺相場と同等か、あるいはそれ以上の家賃に設定されているケースが多いようです。3.社会の動向その物件の周辺エリアでオリンピックなどの大きなイベントや再開発が行われる予定がある場合、国内外の投資家たちによる物件の買い取りが盛んになります。また買い取った物件は、高い家賃で貸し出される傾向にあり、家賃相場が割高になりやすいと言われています。なお大型イベントが原因だった場合は、イベント終了後に投資家たちが物件を手放すケースが多く、家賃相場も次第に下がっていく傾向です。4.新築ビルの建設周辺エリアで新築ビルが建設される予定がある場合、他のエリアから企業が移転してくる可能性が高くなります。その結果、既存のオフィスの空室率が高くなるため、家賃の相場が下がることが想定されます。【賃貸オフィスの家賃を抑える方法】賃貸オフィスの家賃をできるだけ抑えたい場合は、以下の方法を実践してみましょう。1.礼金のない物件を探すオフィスを借りる際は、敷金や礼金、保証金、仲介手数料、火災保険料などの初期費用が必要になります。このうち、特に大きな割合を占めるのが敷金・礼金です。敷金は家賃の1~12カ月分、礼金は家賃1~3カ月分に相当します。賃貸オフィスの場合、敷金なしの物件は少ないですが、礼金に関しては0円に設定されているところも多いので、初期費用を抑えたいのなら礼金なしの物件を探してみましょう。なお敷金に関しては、オフィスを退去する際、修繕費用(原状回復費用)を差し引いた分が返金されます。2.家賃相場の安いエリアを中心に物件を探す前述の通り、家賃相場はエリアによって大きな差があります。家賃相場が安いエリアを中心に物件を探せば、人気エリアではなかなか手が届かない大規模または大型オフィスを借りることも可能となります。ただ、家賃の安いエリアにはそれなりの理由があり、最寄り駅から遠い、災害リスクがあるなどの難点がある場合がほとんどです。特に注意したいのはエリア一帯の建物の築年数で、1981年以前の旧耐震基準で建築された建物は、耐震性が不十分である可能性があります。耐震性が不十分な物件に入居すると、大規模な地震が発生した場合に建物や家財、人命に大きな損害が出てしまう恐れがあります。コストを抑えるためにどうしても古い物件を選ぶ必要があるという場合は、耐震改修工事が行われているかどうか事前にチェックしておきましょう。3.賃料を交渉する賃貸オフィスは、インターネットなどで公開されている募集賃料と、実際に支払った契約賃料に差があるケースが多く見られます。そのため募集賃料を鵜呑みにせず、あらかじめオーナーと交渉をすることも賃料を安く抑えるコツです。交渉の際は、周辺オフィスの賃料相場が交渉材料となります。インターネットで調べる他、実際に足を運んでヒアリングするなどして相場を把握し、賃料の交渉を有利に進めましょう。【まとめ】賃貸オフィスの家賃相場をチェックしてから物件を探そう賃貸オフィスの家賃相場は、地域や立地、空室率、社会の動向などによって大きく変動します。家賃は毎月の固定費の一つなので、自社の売上に対する適正家賃の目安を踏まえつつ、おおよその家賃相場から物件エリアを絞り込みましょう。ただ、同じエリアでも条件によって家賃に差があるので、なるべく複数の物件を比較し、慎重に検討することが大切です。株式会社エステートエージェンシーの「オフィス賃貸の総合窓口」では、東京と関西の賃貸オフィスを、エリアやオフィスのタイプ、賃料、坪数などの条件から絞り込み検索できます。最寄り駅からの所要時間や築年数、設備などのこだわり条件も指定できるので、自社のニーズにぴったりの物件を手軽に探し出せます。気になる物件があれば、簡単なフォーム入力だけで問い合わせることもできるので、東京や関西エリアで賃貸オフィスをお探しの方はぜひオフィス賃貸の総合窓口をご利用ください。