オフィスの通路幅は働きやすさや災害時の安全性に関わる重要な要素です。しかし、オフィスレイアウトを検討する際、デスク配置や会議室の広さに注目する企業は多い一方、通路幅まで十分に意識できていないケースは少なくありません。 本記事では、オフィスの通路幅の目安や参考になる基準、限られたスペースでも適切な通路幅を確保する方法について解説します。自社オフィスのレイアウトを見直したい方は、ぜひ参考にしてください。 この記事で分かること● オフィスの通路幅は、業務効率や安全性、バリアフリー対応に関わる重要な要素● オフィスの適切な通路幅は1.2m以上が一つの目安となる● コンパクトな家具を選定するなどの工夫により、限られたスペースでも通路幅を確保しやすくなる オフィスで適切な通路幅を確保するべき理由 オフィスの通路幅は、従業員の移動しやすさだけではなく、安全性や働きやすさにも影響します。席数を優先し過ぎると通路が狭くなり、業務効率や快適性が低下する可能性があります。 また近年はフリーアドレスやABWなど、多様な働き方に対応したオフィス設計も増えています。そのため、単に通行できるだけではなく、快適に移動できる通路幅を確保する視点も重要です。 スムーズな動線を確保するため 通路幅が不足しているオフィスでは、人のすれ違いや移動がしにくくなります。特に出入口や複合機周辺、会議室前などは人の往来が集中しやすく、狭い通路では混雑や接触が起こりやすくなるでしょう。 例えば、イスを引いた状態で後ろを人が通れない場合、離席のたびに周囲が動かなければならず、小さなストレスが積み重なります。また複数人が同時に移動する時間帯では、動線が滞留しやすくなるケースもあります。 そのため、オフィスレイアウトを設計する際は、人の流れを想定しながらメイン動線とサブ動線を分けて考えることが重要です。十分な通路幅を確保できれば、従業員や来訪者が移動しやすくなり、快適な執務環境につながります。 安全な避難経路を確保するため オフィスの通路は、日常的な移動だけではなく、災害時の避難経路としても重要な役割を持ちます。地震や火災が発生した際、通路幅が狭いと避難に時間がかかり、混乱や転倒のリスクが高まる可能性があります。 また通路に段ボールや収納用品、観葉植物などを置いていると、避難の妨げになる場合があります。特に非常口周辺に物品を置いてしまうと、安全に避難できなくなるおそれもあるため注意が必要です。 建築基準法や消防法では、避難経路に関する考え方が定められています。ただし、必要な通路幅は建物条件や用途によって異なるため、法令上の最低基準だけではなく、実際の使いやすさも考慮しながら設計することが重要です。 作業効率の低下を防ぐため 通路幅が不足しているオフィスでは、移動時のストレスが増えやすくなります。例えば、人を避けながら移動したり、イスを何度も引き直したりする必要があると、日常業務に小さなロスが発生します。 特に複合機や共有収納周辺は、人が滞留しやすい場所です。通路が狭いと移動が重なりやすくなり、業務の中断が増える可能性があります。また圧迫感や人との接触が増えることで、集中力低下につながるケースもあるでしょう。 オフィスの生産性は、単にデスク数を増やせば向上するわけではありません。従業員がスムーズに行動できる環境を整えることも重要です。通路幅を適切に確保することで、業務効率や働きやすさの改善につながります。 バリアフリーなオフィスにするため近年は、多様な人が働きやすいオフィス環境づくりが求められています。そのため、通路幅についても、身体的条件に関わらず移動しやすい設計が重要です。 例えば、車いす利用者が通行する場合、一般的な通路よりも広い幅が必要になります。また高齢者や荷物を持った来訪者などにとっても、余裕のある通路は移動しやすさにつながるでしょう。 通路幅を適切に確保することで、従業員だけではなく来訪者にとっても利用しやすいオフィスになります。 オフィスの通路幅の基本寸法 オフィスの通路幅は、利用人数や用途に応じて適切な寸法が異なります。一般的には、1人が通行する場合に必要な幅は60cmが目安です。2人がすれ違うことを想定する場合は、1.2m以上を確保すると良いでしょう。 また人の往来が多い通路では、より余裕を持った設計が望まれます。複合機の周辺や会議室前といった混雑しやすい場所では、1.6m以上を確保できるとなお良いでしょう。 さらに、オフィスの通路幅を検討する際は、関連する法規を参考にするのも一つの方法です。以下では、代表的な法規の内容を紹介します。建築基準法に基づく通路幅 建築基準法施行令第119条では、火災などの災害時に安全に避難できるよう「廊下幅」について一定の基準が定められています。ここでいう「廊下幅」とは、主に建物共用部の廊下を対象としたものであり、執務室内の通路のことではありませんが、考え方の参考になるでしょう。 具体的には以下のような基準が定められています。 ※参考:e-Gov法令検索.「建築基準法施行令」."第119条".https://laws.e-gov.go.jp/law/325CO0000000338#Mp-Ch_5-Se_2-At_119 ,(参照2026-05-20). 労働安全衛生規則に基づく通路幅 労働安全衛生規則第543条では、機械間や設備間に設ける通路について、幅800mm以上を確保することが定められています。主に工場などを想定した規則ですが、オフィスでも安全確保の観点で参考にできるでしょう。 例えば、以下のような設備周辺では、この考え方を適用できます。 ● 複合機周辺● 書庫周辺● サーバーラック周辺● 共用収納スペース周辺 ただし、800mmはあくまで最低限の安全基準です。安全面だけではなく作業性も考慮しながら、余裕を持った通路幅を確保しましょう。 ※参考:e-Gov法令検索.「労働安全衛生規則」."第543条".https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032#Mp-Pa_2-Ch_10-Se_1 ,(参照2026-05-20). 消防法に基づく通路幅 消防法では、オフィスの通路幅について具体的な数値基準を定めているわけではありません。ただし、火災発生時などに安全かつ迅速に避難できるよう、避難経路を確保することが求められています。 例えば、東京都消防庁による指針として、メインとなる避難通路は直線状に確保し、幅1.2m以上を確保する旨が示されています。加えて、避難通路や出入口の周辺に家具類を置かないことの重要性も強調されています。 通路上に以下のようなものを置いていると避難の妨げになるリスクがあります。 ● 従業員個人の荷物● 書類を入れた段ボール● キャビネット● 観葉植物● 台車 など 最低限の通路幅を確保することはもちろん、物品の放置により狭めてしまわないよう注意しましょう。 ※参考:東京都消防庁.「オフィスの家具転対策」.”1. レイアウトの見直しと安全スペースの確保”. https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/bou_topic/kaguten/measures_office.html , (参照2026-05-20). オフィスで適切な通路幅を確保する方法 限られたオフィスの面積でも、家具の選定やレイアウトを工夫することで通路幅を確保しやすくなります。ここでは、オフィスで適切な通路幅を確保する方法について解説します。 コンパクトなデスクを選ぶ オフィスの面積が限られている場合は、デスクのサイズを見直すことで通路幅を確保しやすくなります。例えばノートパソコンを中心に使う業務であれば、さほど大きなデスクは必要ないでしょう。 ただし、デスクを小さくし過ぎると、資料を広げにくくなったり、モニター設置スペースが不足したりする可能性があります。業務内容や働き方に応じてデスクのサイズを検討することが大切です。 奥行の浅い収納を選ぶ収納家具は便利である一方、サイズや配置によっては通路幅を圧迫する原因になります。特に奥行の深い収納を通路沿いに配置すると、人の移動スペースが狭くなりやすくなります。 限られた空間では、浅型収納や壁面収納を活用することで、通路幅を確保しながら収納量を維持しやすくなるでしょう。また共用収納と個人収納を整理することで、無駄な収納スペースを減らせる場合もあります。 さらに、使用頻度の低い書類を別スペースへ集約したり、ペーパーレス化を進めたりする方法も有効です。保管書類が減れば、収納自体をコンパクトにできる可能性があります。 引き戸やオープン収納を活用する 収納設備の種類によっても、必要な通路幅は変わります。例えば、開き戸タイプのドアや収納は開けた際に通路スペースを塞ぎやすく、人との接触リスクが高まる場合があります。 そのため、限られたスペースではや引き戸やオープン収納を採用することで、通路を圧迫しにくくなります。特に人通りが多い場所では、開閉時に扉がぶつかってしまう事故を防ぐことにもつながるでしょう。 フリーアドレスを導入して席数を減らす 固定席を前提としたレイアウトでは、人数分のデスクを常時配置する必要があります。そのため、席数を優先し過ぎると、通路が狭くなりやすくなります。 フリーアドレスを導入すれば、出社率に応じて席数を削減できるため、空いたスペースを通路へ充てやすくなります。特にテレワークを併用している企業に適した工夫といえるでしょう。 ただし、フリーアドレスは全ての企業に向いているわけではありません。業務内容や組織文化によっては、固定席の方が働きやすい場合もあります。導入する際は、コミュニケーションや運用ルールも含めて検討することが重要です。 まとめ オフィスの通路幅は、単なる移動スペースではなく、業務効率や安全性、快適性に大きく関わる要素です。通路が狭いと、人の移動がしにくくなるだけではなく、災害時の避難や日常業務にも影響を与える可能性があります。 また人通りの多いメイン通路とそれ以外とでは必要な寸法が異なります。建築基準法や労働安全衛生規則、消防法などの考え方も踏まえながら、用途に応じた通路設計を行うことが重要です。 限られたスペースでも、家具選定や収納計画、フリーアドレス導入などを工夫することで、通路幅を確保しやすくなります。単に席数を増やすのではなく、働きやすさとのバランスを考慮することが大切です。 オフィスの移転をお考えの際には「オフィス賃貸の総合窓口」をぜひご活用ください。大阪・東京を中心に賃貸オフィス物件を数多く取り扱っている他、提携する内装業者などのご紹介も可能です。まずはお気軽にお問い合わせください