オフィスを移転するには、移転先のエリアを絞り込んでから、そのエリア内の物件を探すのが一つの方法です。しかし、大阪のようにオフィスエリアが多い都市では、移転先のエリアを絞り込むだけで難しいことがあります。
そこで本記事では、大阪でオフィス移転を検討している企業の担当者の方が押さえておきたい、オフィス移転におすすめのエリア7選とエリア選定の際のポイントなどを解説します。
大阪市内にはそれぞれ異なる特色を持ったオフィスエリアが複数あり、近年は再開発により、新たなオフィスエリアも登場しています。まずは、大阪でオフィス移転をする際におすすめの7エリアをご紹介します。
梅田エリアは、JR、阪神、阪急、地下鉄各線の梅田各駅が集まる、巨大ターミナルの周辺に位置する西日本最大都市である大阪の玄関口で、かつ大阪市内最大の繁華街を擁するビジネス街としてブランド力の高いエリアです。近年再開発が行われ活気付いている梅田エリアは複数路線が集中しているためアクセス抜群で利便性が高いこと、今後も開発計画が進みさらなる発展が見込まれることから、人気が衰えないエリアといえるでしょう。
・交通アクセス:JR大阪駅、阪急・阪神・地下鉄梅田駅
・主要なオフィスビル:グランフロント大阪、大阪梅田ツインタワーズ・サウス、グラングリーン大阪
新幹線の発着駅であるJR新大阪駅周辺の新大阪エリアは、梅田エリアから淀川を挟んだ北側に位置する、関西国際空港へのアクセスも便利なアクセスの良いエリアです。
新大阪駅は今後もリニア中央新幹線や北陸新幹線、阪急新大阪線の乗り入れが期待されているため、東京に本社を構える企業、広範囲に事業を展開する企業の拠点として選択されることが多いのが特徴です(※1、※2、※3)。
・交通アクセス:JR新大阪駅
・主要なオフィスビル:新大阪トラストタワー、新大阪プライムタワー
※1 参考:リニア中央新幹線早期全線開業実現協議会.「TOPページ」.https://linear-osaka.jp/ ,(参照 2025-02-25).
※2 参考:国土交通省鉄道局.「北陸新幹線(敦賀・新大阪間)に関するご説明資料」.https://www.jrtt.go.jp/project/turuhannrennrakukaigi08.pdf,(参照 2025-02-25).
※3 参考:阪急阪神ホールディングス株式会社.「新線プロジェクト」.https://www.hankyu-hanshin.co.jp/jinji/project/project5.html ,(参照 2025-02-25).
大阪駅から1駅南側に位置する淀屋橋・本町エリアは、古くからビジネス街として知られる歴史と格式のある大阪を代表するオフィスエリアです。大手企業のオフィスや金融機関、大阪で長い歴史を持つ企業が集中するエリアで、地下鉄御堂筋線と京阪本線が利用でき、周辺のオフィスビルと地下道で接続されているアクセスの良さも魅力です。
淀屋橋駅周辺では再開発が進められており、淀屋橋駅の真上には2025年、地上29階、オフィスと商業施設が入る大型複合ビルが竣工予定となっています(※)。
・交通アクセス:地下鉄・京阪本線淀屋橋駅、地下鉄本町駅
・主要なオフィスビル:淀屋橋スクエア、日本生命淀屋橋ビル
※参考:(仮称)淀屋橋駅西地区市街地再開発事業.「公式/駅直結オフィス&商業大型複合ビル」.https://yodoyabashi-west-project.jp/ ,(参照 2025-02-25).
本町エリアの南に位置する心斎橋・難波エリアは、百貨店などの大規模商業施設や大阪を代表する商店街がある、大阪有数の商業エリアです。大阪を代表する観光スポットの道頓堀もあるなど、観光客が多く訪れるエリアでもあります。
若者が集まる街として知られるアメリカ村を擁する、若い世代の往来が多く活気があるエリアなので、若者人材の採用に強みを持ちます。また、心斎橋エリアにはランドマークとなる高層ビルの開発が進められており、今後の発展が期待されます(※)。
・交通アクセス:地下鉄心斎橋駅、地下鉄・南海電鉄なんば駅、JR・近鉄・阪神難波駅
・主要なオフィスビル:パークスタワー、マルイト難波ビル
※参考:株式会社パルコ.「(仮称)心斎橋プロジェクト」について」.https://www.parco.co.jp/news/detail/?id=2549 ,(参照 2025-02-25).
大阪市内を流れる淀川から分岐した堂島川と土佐堀川の中洲にある中之島エリアは「天下の台所」と呼ばれた大阪の中枢です。歴史的に見ても、古くから大阪の商業を担っていた水都大阪の象徴といえるエリアです。
中之島の東部には大阪市中央公会堂や府立中之島図書館などの文化施設が集まっていますが、西部は比較的新しい大型オフィスビルが立地しています。多くの金融業やIT企業がオフィスを構えており、現在は梅田エリアに並ぶ人気のオフィスエリアとなっています。
・交通アクセス:京阪中之島駅
・主要なオフィスビル:中之島フェスティバルタワー、中之島センタービル
江戸堀エリア・靭公園エリアは、中之島から土佐堀川を挟んだ南側に広がるエリアです。北に中之島エリア、東に本町エリアが隣接していることから、江戸堀エリアもオフィス街として発展を続けています。
江戸堀の南側に隣接する靭公園は広大なバラ園があることで知られていますが、このエリアの周辺には広告代理店や大手企業があるため、クリエイティブ企業も集まっており、その影響で若手クリエイターが集まる街としても注目を集めています。
・交通アクセス:地下鉄肥後橋駅、地下鉄本町駅
・主要なオフィスビル:江戸堀センタービル
大阪市の南部に位置する天王寺・阿倍野エリアは、近年再開発により大型商業施設や超高層ビルが並び、進出する企業が増えているエリアです。
電車で関西国際空港に直接アクセスできるのが、天王寺・阿倍野エリアの魅力の一つです。大阪のビジネス街の南端の商業エリアという立地から、集客性を重視する企業や製造業や卸売業が多く進出しています。
・交通アクセス:JR・地下鉄天王寺駅、地下鉄・近鉄・阪堺線阿倍野駅
・主要なオフィスビル:あべのハルカス
大阪は現在進行形で開発が進んでいる街で、これから新たなオフィスエリアが生まれる予定もあります。今後オフィスを選ぶ際に注目したいエリアが、以下の2カ所です。
JR大阪駅北側エリアでは、2002年より梅田貨物駅跡地の再開発が進んでいます。このエリアの再開発プロジェクト「うめきたプロジェクト」は、先行開発区域と2期区域に分かれており、先行開発区域は2013年にグランフロント大阪を含むエリアとしてまちびらきが完了しました(※1)。
続く2期区域が現在も再開発が進行中で、2024年11月にオフィスタワー「グラングリーン大阪 パークタワー」が竣工しています(※2)。その他にも都市公園や商業施設などの整備が予定されており、2027年に全体のまちびらきが予定されています(※1)。
※1 参考:大阪市.「うめきた(大阪駅北地区)プロジェクト」.https://www.city.osaka.lg.jp/osakatokei/page/0000005308.html ,(参照 2025-02-25).
※2 参考:三菱地所オフィス情報.「グラングリーン大阪」. https://office.mec.co.jp/pickup/project_grandgreenosaka ,(参照 2025-02-25).
大阪湾に浮かぶ人工島にある夢洲エリアは、2025年の大阪・関西万博の開催地として注目のエリアです。2025年1月、このエリアに地下鉄夢洲駅が開業しました(※1)。
このエリアには「大阪IR(Integrated Resort)」というカジノを含む統合型リゾートの建設が予定されています(※2)。また、夢洲における国際観光拠点の形成に向けたまちづくりを実現するため、現在協議が重ねられており、いくつかの問題はあるものの、今後の動向が注目されます(※3)。
現在は地下鉄のみが延伸している夢洲エリアですが、他の鉄道事業者も延伸を検討しているので、将来的には国際的なビジネス拠点のオフィス移転先として魅力的なエリアとなる可能性があるでしょう。
※1 参考:Osaka Metro.「Osaka Metro 中央線延伸部(コスモスクエア駅から夢洲駅間)が2025年1月19日(日曜日)に開業します」https://subway.osakametro.co.jp/news/news_release/20240905_chuo_line_enshin.php ,(2024-09-05).
※2 参考:大阪府・大阪市 IR推進局.「TOPページ」.https://www.city.osaka.lg.jp/contents/wdu220/osakair/,(参照 2025-02-25).
※3 参考:大阪市.「報道発表資料 「夢洲第2期区域マスタープランVer.1.0(案)」に対するパブリック・コメントを実施します」.https://www.city.osaka.lg.jp/hodoshiryo/osakatokei/0000646132.html ,(参照 2025-02-25).
これまでのオフィスと異なるエリアに移転する場合、オフィスの場所以外にもさまざまな要素が変わります。オフィスの移転は経営や従業員の職場環境に大きく関わることなので、移転先のエリアを選ぶ際は、以下でご紹介するポイントに踏まえて設定した条件に優先順位を付けて絞り込んでみましょう。
オフィスを移転する際にまずチェックしたいポイントが、通勤時間です。従来のオフィスよりも交通の便が悪いエリアや郊外エリアに移転してしまうと、通勤時間が長くなったり車での通勤を余儀なくされたりするなど、従業員の通勤に支障が出る可能性があります。
オフィスの移転を検討する際は、移転先のエリアの最寄り駅や利用可能な路線を確認することはもちろん、最寄り駅の使い勝手の良し悪しや、実際にオフィスから最寄り駅まで歩いてみて所要時間を確認するなどの確認が必要です。
オフィスの周辺環境も、移転エリアを検討する際に必ずチェックしておきたいポイントです。業務で必要な手続きを行うための公的機関や役所、金融機関が近隣にあれば、利便性がアップします。
オフィスの周辺に飲食店やコンビニエンスストアなどが多く立地していれば、昼食や休憩時に便利です。昼食を取る場は従業員同士のコミュニケーションの場となることが期待できるため、その選択肢が増えることが従業員の満足度アップに寄与するでしょう。
オフィスの移転には、当然ながらコストがかかります。移転そのものにかかるコストに加えて賃料も今後かかってくるコストになりますが、移転先のエリアによっては坪単価が上がるために賃料も大幅に上がる可能性が考えられます。特に、都心部の利便性が高いエリアや人気の高いエリア、ブランド力のあるエリアは賃料が高い傾向にあるので、移転後にかかるコストも高くなることは明らかです。
賃料は移転後も支払い続ける必要があるコストとなるため、移転先エリアを選定するには予算と坪単価を照らし合わせてエリアを絞り込みましょう。
大阪市内にはオフィス街が数多くあり、それぞれのエリアには独自の特徴やメリットがあります。オフィスエリアとして人気が高いエリアや再開発などで注目されているエリアはコストが高くなる傾向もあり、今後も再開発が続くエリアも複数あることから、オフィスの移転先は十分検討して選びたいところです。
大阪市内でオフィスの移転先に迷った場合は、賃貸オフィスや賃貸事務所を専門に取り扱う「オフィス賃貸の総合窓口」に相談してみましょう。大阪の主要オフィス街の物件を網羅しており、要望にマッチした物件の紹介が可能です。移転後も定期的な訪問や連絡を行う手厚いアフターフォローで、要望解決をサポートします。オフィス移転を検討中の人事責任者や総務担当者の方は、ぜひ一度オフィス賃貸の総合窓口へご相談ください。