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2025.7.4
不動産豆知識
安藤

失敗しない! 事務所・オフィス賃貸契約の重要チェックポイント【契約前に確認すべき注意点まとめ】

 事務所の賃貸は、住居用物件の賃貸契約と異なり、契約時に専門的な知識が求められます。提出書類の種類が多く、使用開始までの手続きも複雑なため、戸惑う方も少なくありません。

 

事務所選びを成功させるには、内見時のチェックポイントや契約時の注意点を事前に把握しておくことが重要です。本記事では、事務所・オフィスの賃貸契約で確認すべき点や注意点を解説します。

事務所賃貸は住居用と違う? まず知っておきたい基本

 

事務所用の物件の賃貸では、住居用とは異なるルールや契約条件が多くあります。思わぬトラブルを避けるためにも、事業用物件の賃貸契約の基本を知っておきましょう。

 

事業用ならではの確認事項が多い

 

事業用物件を借りる際は、住居用物件と比べて確認すべき項目が多くあります。中でも大きな違いとして挙げられるのが、審査のために準備する書類の多さです。

 

事務所やオフィスの入居審査では、会社の社会的信用度や経済状況を判断する必要があります。そのため、会社概要やパンフレットなどの基本情報に加え、過去の貸借対照表や損益計算書といった決算書類の提出が求められます。他にも、一般的には登記簿謄本や印鑑証明書などの法的書類も用意しなければなりません。これらの書類の準備には、手間と労力がかかります。

 

なお、入居審査に数週間~1カ月程度かかることもあります。すぐに入居できない可能性があるため、入居希望日に間に合うようスケジュールには余裕を持たせておきましょう。

 

契約内容の複雑さと専門性

 

事務所・オフィスの賃貸借契約書には、賃料や支払期日、契約期間などの重要な項目が記載されています。住居用物件と比べて、契約内容が専門的かつ複雑になる場合が多いため、契約内容は慎重に確認しておきましょう。

 

中でも契約形態は忘れずに確認する必要があります。特に定期建物賃貸借契約は、契約期間が満了すると自動更新されず、再契約には貸主の同意が必要です。また、原則として途中解約は認められていません。

 

その他の項目でも、契約書には法的な条文や専門用語が多く用いられており、内容を正確に把握するのが難しいこともあります。契約後のトラブルを防ぐためにも、不明点は不動産会社の担当者や管理会社に確認しましょう。

 

ステップ1:物件選びで失敗しないためのチェックポイント

 

物件選びで失敗しないためには、賃料や広さだけで判断せず、事業内容や働き方に合わせて決める必要があります。具体的なチェックポイントは、以下の通りです。

 

● 立地・アクセスは事業内容に合わせて決める

● 建物の設備・スペックを確認する

● 室内の設備や広さを確認する

 

立地・アクセスは事業内容に合わせて決める

 

物件の立地やアクセスは、事業内容に合わせて選びましょう。例えば、本社機能を担うオフィスであれば、他店舗や取引先とスムーズに連携できるよう、主要駅からの移動時間や交通手段を考慮して選ぶことが重要です。

 

製造業の場合は、工場との距離や物流の効率性も重視すべきポイントです。原材料の調達や製品の配送が頻繁に発生する場合、高速道路のインターチェンジ近くなどの交通の便が良い場所に事務所を構えることで、コスト削減や時間短縮につながります。

 

賃料や築年数などの条件だけで判断せず、自社の業務が円滑に進む環境かどうかを基準に物件を選びましょう。

 

建物の設備・スペックを確認する

 

建物の設備・スペックも忘れずに確認しましょう。特に以下の点は、契約前に必ず確認しておくことをおすすめします。

 

● 空調設備:部屋の広さに対して適切な数と位置かどうか

● 電気容量:IT機器や製造設備を多用する場合、電気容量が不足しないか

● エレベーターの台数と待ち時間:高層ビルやピーク時では待ち時間がストレスになりやすい

● 喫煙スペース・トイレの数:従業員満足度や快適さへの配慮

 

このような設備面のチェックは、入居後のトラブルや後悔を未然に防ぐだけでなく、従業員の働きやすさや会社への愛着にも大きく影響します。

 

室内の設備や広さを確認する

 

業務を行う室内の広さや設備も確認しましょう。物件資料には貸室面積や専有面積が記載されていますが、図面上の数値だけでは実際の業務に適した広さかどうか判断するのは困難です。デスクや什器を配置した際の動線や、会議スペースとの兼ね合いを確認するためにも、内見で実際のレイアウトをイメージしておきましょう。

 

室内の天井高も重要なチェックポイントです。天井が低過ぎると圧迫感が出るだけでなく、事務所衛生基準規則第2条にある気積の基準(労働者一人当たり10立方メートル)を満たさない可能性があります(※)。その場合、従業員の人数に制限がかかる可能性があるため注意しましょう。

 

採光のとれる窓の配置や換気性能なども快適な職場環境に影響を与えるため、併せて確認しておくことが望ましいです。

 

※参考:e-Gov法令検索.「事務所衛生基準規則」.”第二条”.https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000043#Mp-Ch_2 ,(参照2025-05-23).

 

ステップ2:【最重要】事務所賃貸「契約時」の注意点・確認事項

 

事務所・オフィスの賃貸契約では、多くの項目を確認しなければなりません。契約時の注意点を把握しておかなければ、入居後や退去時にトラブルが発生する可能性があります。

 

具体的に確認すべきポイントは、以下の通りです。

 

● 賃料関連費用

● 初期費用(敷金・保証金、礼金など)

● 契約期間と更新について

● 禁止事項・利用制限・遵守事項

● 解約・退去に関する条件

● 特約事項

 

賃料関連費用

 

事業用物件では、毎月の賃料の他に共益費や管理費、インターネット使用料などさまざまな費用が発生する場合があります。物件を決める際は、これらの費用を見積もった上で契約することが大切です。

 

例えば、賃料が高過ぎると資金繰りが難しくなり、経済的な負担が大きくなる可能性があります。反対に賃料を抑えても、その他の費用が高額だと結果的にコストがかさんでしまうでしょう。

 

契約時は全ての関連費用を月額・年間ベースで試算し、予算内に収まるかどうかを確認することが大切です。

 

初期費用(敷金・保証金、礼金など)

 

賃貸事務所を契約する際は、敷金や保証金、礼金などの初期費用がかかります。初期費用の目安は、毎月の賃料の12カ月分として想定しておくと安心です。例えば、賃料が20万円だった場合、初期費用として240万円ほど準備が必要になる可能性があります。

 

敷金や礼金の他、引っ越し代や什器代、内装工事費用なども必要です。初期費用は物件によって異なるので、賃料関連費用と同じく予算内に収まるかどうかを確認しましょう。

 

契約期間と更新について

 

契約書記載の契約期間と更新に関するルールを確認しましょう。普通型賃貸借契約で事務所を賃貸した場合、一般的な契約期間は2~3年です。契約期間満了後も継続して利用する場合は、更新料を支払うことで契約延長となります。

 

一方、定期建物賃貸借契約では、事前に定めた期間が満了すると自動更新はされず、原則として契約終了となります。継続して利用したい場合は、更新ではなく、改めて新規契約を結ばなければなりません。

 

事業計画に合った契約期間が設定されているか、契約満了時に更新料が発生するかどうかを、あらかじめ確認しておきましょう。

 

禁止事項・利用制限・遵守事項

 

賃貸事務所を契約する際には、禁止事項や利用制限・遵守事項も確認すべき項目です。例えば、借主が無断で他の法人やグループ会社に事務所を転貸(又貸し)する行為は、多くの賃貸契約で禁止されています。

 

また、シェアオフィスのように複数企業が同居する形態で他社に営業活動を行ったり、特定の業種に該当する事業を行ったりすることが禁止されているケースもあります。

 

禁止までいかなくとも、一定の利用制限が設けられているケースもあるため、契約書や重要事項説明書に記載された制限内容を事前に確認しましょう。

 

解約・退去に関する条件

 

契約書には、解約・退去に関する条件が記載されています。中でも注意したいのが、解約の申告期限です。契約によって異なりますが、事業用物件では、退去の6ヶ月前に申告しなければならない場合が多いで す。

 

退去時に原状回復工事が必要な場合は、工事業者の選定やスケジュール調整、予算の確保など、準備すべきことが多く発生します。あらかじめ条件を把握しておけば、余裕を持って対応できるため、解約・退去手続きをスムーズに進められるでしょう。

 

特約事項(必ず内容を確認)

 

特約事項にも目を通し、内容が適切かどうか確認しましょう。特約事項には、貸主と借主の間で取り決めた個別のルールや賃料の見直しなどが記載されています。

 

特約事項は契約書の補足として定められている事項です。そのため、契約前に全文を確認し、不明点があれば管理会社や貸主に問い合わせておきましょう。

 

ステップ3:その他、事務所賃貸で気をつけるべき点

 

物件の選定や契約内容の確認はもちろん重要ですが、契約後に発生する手続きや準備にも注意が必要です。入居前に行う内装工事や万が一に備えた火災保険、賠償責任保険への加入など、見落としがちなポイントも確認しておきましょう。

 

入居工事(内装工事)について

 

入居時には、自社の業務内容や従業員数に応じた内装工事を行うことが一般的です。ただし、工事は自社の判断で開始できず、貸主やビル管理会社の許可を取らなければなりません。

 

許可申請の際には、レイアウトの内容や工事の実施時期などを明確に伝える必要があります。契約書の内容に反する工事を行った場合、契約違反として、損害賠償の対象になる可能性もあります。事前に契約内容や関連する法律を確認しておきましょう。

 

退去時は原状回復工事を求められるのが一般的です。原状回復工事では、元から存在していた傷や劣化をめぐって、貸主と借主の間で費用負担に関するトラブルが発生する場合があります。そのような事態を防ぐためにも、入居前に室内の状態を撮影して記録に残しておきましょう。

 

火災保険・賠償責任保険への加入

 

事務所・オフィスの賃貸契約では、万が一の火災に備えて火災保険や賠償責任保険に加入することが求められます。特に、貸主との契約で加入が義務付けられているケースも多いため、契約時に確認しておくことが重要です。

 

火災によって隣接するテナントや他社の資産に損害が及んだ場合、高額な賠償責任を負う可能性もあります。被害額が億単位にのぼるケースもあり、適切な保険への加入は欠かせません。最悪の場合、費用を全額自社で負担するリスクもあります。

 

特に、以下の3つは事業用賃貸で一般的に加入すべき代表的な保険です。

 

● 借家人賠償責任保険:貸主への補償

● 個人賠償責任保険:隣接するテナントや他社への補償

● 家財保険:火災や盗難などで被害に遭った家財への補償

 

これらの保険は、事業継続にとって不可欠なリスクヘッジの手段です。契約前に補償範囲や保険金額の適正性を確認し、自社の業種や事業規模に応じた内容で保険に加入しておきましょう。

 

【まとめ】

事務所を賃貸するなら早めに準備を進めよう

 

事務所の賃貸は、住居用物件と比べて、確認すべき項目や必要な手続きが多くあります。契約時には、賃料以外にかかる初期費用や禁止事項、契約期間などの情報をしっかり確認することが、契約後のトラブルを未然に防ぐために重要です。

 

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