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2026.5.13
不動産豆知識
安藤

オフィスのBCP対策はどうする? 具体的な策定手順や物件選びのポイントを解説!

自然災害や感染症拡大、セキュリティインシデントといった緊急事態が発生すると、オフィスの機能を維持できなくなり、企業の経営に大きな打撃を与える可能性があります。こうした状況でも事業を継続、あるいは早期に復旧するために重要なのがBCP対策です。

 

本記事では、オフィスで想定しておきたいリスクや具体的な対策方法、BCPを策定する手順などについて解説します。加えて、BCPを重視したオフィス物件選びのポイントも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

 

この記事で分かること

● BCPとは緊急時に事業を継続・早期復旧するための計画のこと

● オフィスにおいては主に自然災害・感染症拡大・セキュリティインシデントのリスクを想定するべき

● 拠点の分散や非常用物資の準備、家具・設備の転倒対策、データのバックアップなどを行いリスクに備える

 

そもそもBCPとは? 

 

BCPとは「事業継続計画(Business Continuity Plan)」のことで、自然災害や感染症拡大、セキュリティインシデントといった緊急事態が発生した際に、事業を継続・早期復旧するための計画を指します。

 

BCPの策定に当たり考慮するべき要素は、ヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源全般に及びますが、中でも重要な要素の一つがオフィスです。オフィスの機能を維持できなければ、企業の意思決定や実務が滞り経営が揺らいでしまいます。

 

これは製造業や小売業といった、現場拠点が別にある業態も例外ではありません。たとえ生産や販売を担う拠点が無事でも、それらを統括するオフィスが機能しなければ、事業全体に混乱が生じる可能性があります。

 

あらかじめBCPを策定しておくことで、非常時の混乱を最小限に抑えられ、取引先や顧客からの信頼を守ることにつながるでしょう。

 

BCPの観点で想定しておきたいオフィスのリスク

 

では、具体的にオフィスにおいてどのようなリスクを想定しておけばよいのでしょうか。ここでは、主要な3つのリスクを取り上げます。

 

自然災害のリスク

 

地震や台風、豪雨といった自然災害は、オフィスの建物や設備に直接被害を与える可能性があります。また停電や火災、家具の転倒などの二次被害につながることも想定しておかなければなりません。

 

あるいは、オフィスが無事であっても交通機関の混乱によって従業員の出社・帰宅が困難になるケースも考えられます。実際に、2024年8月には東京で局地的な豪雨が発生し、東京メトロの駅構内が約20年ぶりに浸水する事態となりました。

 

このように、オフィスの立地や状態によっては建物そのものが被害を受ける他、出社・帰宅が困難になることで実質的にオフィスが機能しなくなるリスクもあります。

 

感染症拡大のリスク

 

感染症の拡大も、オフィスの利用や事業の継続に支障をきたすリスクとして想定しておく必要があります。社内で感染が広がれば、オフィスの一時閉鎖や出社制限を余儀なくされ、業務を継続できなくなるかもしれません。

 

また先の新型コロナウイルス感染症のように、世界的な大流行にまで至った場合、サプライチェーンの混乱により必要な物資やサービスを確保できなくなることも考えられます。

 

セキュリティインシデントのリスク

 

不法侵入・サイバー攻撃などによる情報漏えいといったセキュリティインシデントのリスクも想定しておく必要があります。

 

不法侵入の手口としては、正規の従業員の後に付いて侵入する「共連れ」や、清掃員・宅配業者を装って侵入を試みる手法が代表的です。また不法侵入に限らず、来客対応の際にパソコンの画面やデスク上の資料を見られてしまい情報漏えいにつながることもあります。

 

さらに、近年はランサムウェアなどを用いたサイバー攻撃により、企業のシステムが被害を受けるケースも増えています。今や多くの企業にとってネットワークやサーバーといったITインフラは事業継続のために不可欠となっており、サイバー攻撃により実質的にオフィスの機能が停止してしまうリスクも考慮に入れておくべきでしょう。

 

オフィスにおけるBCP対策の具体例

 

先述したように、BCPとは「事業継続計画」を意味する言葉です。一方で、近年ではその具体的な準備や取り組みを指して「BCP対策」という使い方も浸透しています。

 

ここでは、オフィス機能の維持に焦点を当て、BCP対策の具体例をいくつか紹介します。

 

拠点を分散する

 

まず、支社やサテライトオフィスを設け、拠点を分散させておくことが挙げられます。オフィス機能を一カ所に集約していると、自然災害や感染症による被害を受けた際に、事業全体が停止してしまいかねません。

 

複数の拠点で業務を分担できる体制を整えておけば、もし一つの拠点が機能しなくなっても、他の拠点が業務を引き継げます。

 

非常用物資を用意する

 

自然災害や交通機関の乱れなどにより従業員が帰宅困難になった場合に備え、非常用物資を用意しておくことも大切です。具体的には、以下のような物資を用意しておくと良いでしょう。


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これらの物資は定期的に点検を行い、劣化・故障しているものは入れ替えましょう。

 

家具や設備の転倒対策をする

 

書棚や背の高いキャビネット、大型のOA機器などをしっかりと固定しておくことも大切です。転倒対策がなされていないと、大きな地震が発生した際に以下のようなリスクが考えられます。

 

● 従業員が家具や設備の下敷きになる

● 重要な機器が故障し、業務再開が困難になる

● 設備や周囲の配線が損傷し、漏電や火災につながる

 

また倒れた家具などが通路を防ぎ、避難が遅れる事態も考えられます。必要に応じてレイアウトの見直しも行いましょう。

 

データをクラウドにバックアップする

 

自然災害などによりオフィス内で運用しているサーバーが損傷すると、事業や顧客に関するデータが丸ごと失われる恐れがあります。またオフィスへの出社や立ち入りが困難になった場合に、サーバーの保守・運用ができなくなってしまいます。そのため、重要なデータはクラウド上にバックアップし、リスクを分散することが重要です。

 

オフィスにおけるBCPを策定する手順

 

緊急事態への対策を個別に検討するだけでは、いざというときに現場が迷わずに行動に移すのは困難でしょう。緊急時の行動指針をBCPとして体系化しておくことで、より実行しやすくなります。

 

ここでは、BCPを策定する際の基本的な手順を4ステップに分けて紹介します。

 

1.担当者を決め方針を定める

 

まずは、BCPの策定を担当するメンバーを決め、策定の目的や役割分担を固めます。緊急時には全社での対応が求められるため、経営層や総務部門だけではなく、情報システム部門や各事業の責任者などを含めた横断的な体制を整えるのが理想です。

 

なお、策定の方針に迷った際は、中小企業庁が提供する「中小企業BCP策定運用指針」を参考にすると良いでしょう(※)。

 

※中小企業庁.「中小企業BCP策定運用指針」.https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/ ,(参照2026-02-12).

 

2.優先するべき業務を特定する

 

次に、緊急時でも継続しなければならない業務を洗い出します。全ての業務を等しく維持することは難しいため、優先順位を付けて対応するのが現実的です。

 

例えば、基幹システムの保守・運用や顧客対応など、停止による悪影響が大きい業務を特定します。

 

3.リスクを洗い出し、対策を考える

 

優先するべき業務が決まったら、それを妨げるリスクを具体的に想定します。先述した自然災害・感染症拡大・セキュリティインシデントといった大きな枠組みから分解していき、具体的なシチュエーションまで落とし込んでいくと良いでしょう。

 

さらに、洗い出したリスクへの対策を併せて検討します。以下に例を挙げます。


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このようにリスクとその対策を網羅的に整理しておくことで、緊急時に場当たり的な対応を取らずに済むでしょう。

 

4.計画として文書化する

 

検討した内容を文書化し、誰が見ても理解できる形にまとめます。記載する内容や様式に迷った際は、中小企業庁が提供するフォーマットを活用するのがおすすめです(※)。内容は定期的に見直し、必要に応じて更新しましょう。

 

またBCPを策定するだけでは不十分です。従業員への周知や訓練を通じて社内に浸透させ、緊急時に従業員が迷わず動ける状態を目指しましょう。

 

※中小企業庁.「中小企業BCP策定運用指針」.https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/ ,(参照2026-02-12).

 

BCPを重視したオフィス物件選びのポイント

 

今後オフィスを移転したり、新たに拠点を開設したりする際は、BCPの観点で有利な物件を選ぶことも重要です。ここでは、BCPを重視したオフィス物件選びのポイントを紹介します。

 

周辺環境

 

オフィスの周辺環境は、災害時の被害規模に直結します。例えば、洪水や高潮などの浸水リスクが高い地域では、オフィスを使用できなくなったり、出社が困難になったりするリスクが高いといえます。

 

自治体が公表するハザードマップを確認し、災害による深刻な被害が想定される区域に該当しないかを事前に把握することが重要です。周辺の避難場所や交通アクセスも含め、非常時の安全性を確認しておく必要があります。

 

耐震性

 

地震大国である日本では、建物の耐震性も重要です。1981年の法改正後に標準となった「新耐震基準」に則った建物かどうかを確認しましょう。

 

1981年以前の建物であっても、法改正後に適切な耐震補強工事が行われていれば問題ありません。

 

セキュリティ性

 

自然災害だけではなく、不法侵入や情報漏えいといったリスクも、物件の選び方次第である程度の対策が可能です。例えば、セキュリティゲートがあるか、警備員が常駐しているか、十分な数の防犯カメラが備え付けられているかなどの点を確認しておくと良いでしょう。

 

またテナント側で入退室管理システムの導入や、来客用エリア・執務エリアのゾーニングを検討している場合は、必要な工事が認められるかどうかをオーナーや管理会社に確認しておくことも大切です。

 

まとめ

 

緊急時に事業を継続・早期復旧させるには、自然災害や感染症拡大、セキュリティインシデントなどさまざまなリスクを想定し、対策を講じる必要があります。事前にできる対策は徹底した上で、緊急時に取るべき行動や判断基準はBCPとして文書化し、従業員が迷わず対応できる体制を整えましょう。

 

オフィスの移転や新拠点の設立をお考えの際には「オフィス賃貸の総合窓口」をご活用ください。希望条件に合ったオフィス物件の紹介から、各種業者の手配までトータルサポートいたします。

 

【参考URL】 

https://bosai-times.anpikakunin.com/bcp-formulation/

https://www.ntt.com/bizon/bcp/planning-attention.html

https://www.qac.jp/column/20230824/

https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/contents/level_c/bcpgl_01_1.html

https://info.sp-network.co.jp/blog/what-is-bcp

https://www.qtpro.jp/blog/dccl/15.html

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