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2026.8.25
不動産豆知識
安藤

居抜きオフィスへの入居時に交わす契約とは? 締結の流れやチェックポイントも紹介

オフィスの移転を検討する際、初期費用をできるだけ抑えつつ、短期間で移転を完了させたいと考える企業は多いでしょう。そのような場合におすすめの選択肢の一つとなるのが、居抜きオフィスです。

 

ただし、居抜きオフィスは通常のオフィス物件と比べて契約が複雑になりやすく、注意しなければならないポイントもあります。

 

本記事では、居抜きオフィスへの入居に当たり締結する2つの契約や入居までの具体的な流れ、契約時のチェックポイントなどを紹介します。トラブルなくオフィスの移転を完了させるために、ぜひ参考にしてください。

 

【この記事で分かること】

● 居抜きオフィスとは、前のテナントの内装や設備を引き継いで入居できるオフィスのこと

● 居抜きオフィスで締結する契約は、オーナーと結ぶ賃貸借契約と、前のテナントと結ぶ造作譲渡契約の2つ

● 居抜きオフィスの契約では、設備の故障時の責任範囲や原状回復の条件などを事前に確認することが重要

 

居抜きオフィスとは?

 

居抜きオフィスとは、前のテナントが使用していた内装・設備をそのまま残した状態で貸し出されるオフィスのことです。引き継がれる範囲は契約ごとに異なりますが、例えばデスクやパーテーション、造作収納、空調設備などが譲渡される場合があります。

 

一般的な賃貸オフィスでは、骨組みだけのスケルトン状態、あるいは最低限の内装仕上げだけの状態で貸し出され、自社で追加の内装工事や設備の導入を行わなければなりません。一方、居抜きオフィスの場合は既存の内装や設備を引き継げるため、入居に当たっての初期費用を大幅に削減できるメリットがあります。

 

また入居までの期間を短縮しやすいことも居抜きオフィスのメリットです。レイアウトや譲渡された設備が自社の用途と合致していれば、ほとんど工事を行わずに入居できることもあります。契約後すぐに入居でき、旧オフィスと新オフィスの二重家賃の発生を抑えやすい点も魅力です。

 

居抜きオフィスへの入居時に交わす2つの契約

 

居抜きオフィスへの入居に当たっては、主に「賃貸借契約」と「造作譲渡契約」の2つを締結することになります。それぞれ契約する相手や目的が異なるため、しっかりと把握しておきましょう。

 

賃貸借契約

 

賃貸借契約は、物件のオーナーと入居するテナントとの間で締結する契約です。居抜き物件に限らず、賃貸オフィスを借りる際に締結する必要があります。

 

賃貸借契約では、主に以下のような内容を定めます。

 

● 物件の住所や区画、面積など

● 貸主と借主

● 賃料や管理費

● 敷金(保証金)

● 礼金

● 契約期間

● 用途制限

● 原状回復義務の範囲

● その他特約事項

 

なお、居抜きでの契約では、あらかじめオーナー・前のテナント・新しいテナントの3者間での調整が必要になります。賃貸借契約そのものは、あくまでオーナーと新しいテナントの2者間で締結されますが、居抜きでの引き渡しについて関係者間で認識が一致しているかを確認しておきましょう。

 

関係者間の調整は仲介業者を通じて進めるケースが一般的です。そのため過度に心配する必要はありませんが、自身でも状況を把握しておくことが大切です。

 

造作譲渡契約

 

造作譲渡契約は、前のテナントと新しいテナントとの間で締結する契約です。内装や設備の引き継ぎに関する具体的な取り決めを行います。

 

具体的には、以下のような内容を定めます。

 

● 引き継ぐ内装・設備の範囲

● 譲渡金額

● 汚損・故障時の責任の所在 など

 

後のトラブルを防ぐためには、譲渡品リストを作成しておくことが重要です。引き継ぐ内装・設備の品目、数量、型番、傷や汚れの状態などを細かく記載し、可能であれば写真を添付して書面化しておきます。これにより「あるはずの設備がない」「最初から壊れていた」といった、口頭での約束に起因する言った言わないのトラブルを未然に防げます。

 

居抜きオフィスの契約締結までの流れ

 

居抜きオフィスの契約はどのような流れで進むのでしょうか。ここでは、契約締結までの一般的な流れを紹介します。

 

1.物件情報を集め内見を行う

 

まずは、希望条件に合う居抜きオフィスの物件情報を集めます。居抜きオフィスは、前のテナントが退去するまでに引き継ぎ先を確定させる必要がある都合上、募集期間が短いことがあります。そのため、条件に合う物件が見つかった場合は、できるだけ早めに内見へ進むのが望ましいです。

 

なお、居抜きオフィスでは、前のテナントが入居している状態で内見が実施されるケースも少なくありません。入居中の内見は、実際のレイアウトをイメージしやすい一方で、家具や荷物が残っていることで床や壁の状態まで細かく確認しにくい場合があります。必要に応じて退去後に再度内見を行うことも検討しましょう。

 

2.契約条件やスケジュールを確認する

 

内見を通じて物件が希望に合っていると判断できたら、オーナーや前のテナントと詳細な契約条件をすり合わせます。通常の賃貸オフィスと同様に賃料や契約期間といった基本的な条件に加え、先述したように造作譲渡の対象や金額といった居抜き物件に特有の条件も確認しておきましょう。

 

併せて、入居までのスケジュールを確認しておくことも大切です。ビルによっては内装工事や搬入の時間帯、作業方法などに制限が設けられていることがあります。契約後に想定外の調整が発生しないよう、あらかじめルールを確認しておくと安心です。

 

<h3>3.入居申し込み後、審査結果を待つ</h3>

 

契約条件に問題がなければ、正式に入居申し込みを行います。申し込み後は、オーナーや保証会社による審査が行われます。居抜きオフィスに特有の確認事項があるわけではなく、一般的な賃貸オフィスと同様に、会社の経営状況や支払い能力、利用用途などが審査の対象です。

 

審査にかかる期間の目安は3日~1週間程度です。ただし、提出書類に不備がある場合や、追加の確認が必要と判断された場合は、さらに時間がかかることもあります。余裕をもったスケジュールを考えておくようにしましょう。

 

4.契約を取り交わし、引き渡しを受ける

 

入居審査を通過したら、いよいよ契約の締結へ進みます。契約締結後は、敷金や礼金、前払い分の賃料といった初期費用を指定の期日までに支払い、物件の引き渡しを受けます。引き渡し時には、契約書や譲渡品リストと照らし合わせながら、内装や設備の状態を確認しましょう。

 

居抜きオフィスを契約する際のチェックポイント

 

居抜きオフィスでは、関係者が多いため通常の賃貸オフィスよりも契約が複雑になる傾向にあります。入居後のトラブルを避けるためにも、ここで紹介するチェックポイントを確認しておきましょう。

 

故障・不具合がある設備の扱い

 

居抜きオフィスで引き継ぐデスクやパーテーション、エアコンなどは前のテナントが使用していたものです。使用年数や利用状況によっては、入居後すぐに故障や不具合が発生する可能性もあります。

 

その際、責任の所在が明確になっていないと、修理費の負担などを巡りトラブルになりかねません。契約の時点で故障や不具合が発生した際の扱いを定めておきましょう。

 

例えば、以下のようなパターンが考えられます。

 

● 現状のまま引き渡し、譲渡後の不具合には新しいテナントが対応する

● 「引き渡し後30日以内」のように、あらかじめ定めた期間内の不具合であれば前のテナントが対応する

 

加えて、引き渡し時には設備の動作確認を行い、傷や不具合の有無を写真付きで記録しておくと安心です。

 

リース品の有無

 

譲渡品の中に、リース契約が継続中のものが含まれていないかを確認しておきましょう。特に複合機やビジネスフォン、デスクなどはリースで導入されていることも多いため注意が必要です。

 

もしリース品が含まれていることを知らずにそのまま譲り受けてしまうと、後になって料金を請求されたり、契約満了に伴って機器を回収されてしまったりする可能性があります。

 

契約段階で、リース品はそもそも引き継がないのか、あるいはリース契約ごと引き継ぐのかを明確にしておきましょう。後者の場合は、リース会社が定める手続きに沿って名義変更を行う必要があります。

 

最新の消防法・建築基準法への適合状況

 

現状の内装・レイアウトが最新の消防法・建築基準法に適合しているかも確認しておきましょう。これらは法改正により基準が変わることがあるため、前のテナントが工事を行った当時は適法だった場合でも、現在の基準では違反となっている可能性があります。

 

もし入居後に法令違反が見つかると、是正工事が必要になり、想定外の費用が発生するかもしれません。管理会社や内装工事業者と相談しながら、適合状況のチェックを行いましょう。

 

前のテナントの退去理由

 

可能であれば、前のテナントの退去理由を確認しておくとよいでしょう。

 

単なる契約満了や事業拡大に伴う退去であれば問題ありませんが、中には立地条件の悪さに起因する売上不振や、近隣住民・テナントとのトラブル、あるいは建物自体の不具合などが原因で退去を余儀なくされたケースも考えられます。

 

このような物件をそのまま引き継いでしまうと、自社でも同様の問題が起こってしまうかもしれません。前のテナントや仲介会社にヒアリングするなどして、可能な範囲で隠れたリスクがないかを調べておくことが大切です。

 

原状回復の範囲

 

居抜きオフィスに入居する場合、前のテナントが負っていた原状回復義務を新しいテナントが引き継ぐケースが多いです。オーナーの承諾が得られれば、次のテナントへ再び居抜きで引き継げる可能性もありますが、基本的には原状回復を求められます。

 

そのため契約の際に、どの状態まで戻す必要があるのかを確認しておくことが大切です。家具や設備を撤去するだけでよいのか、内装も含めて撤去する「スケルトン状態」で返却する必要があるのかを、事前に明確にしておきましょう。

 

まとめ

 

居抜きオフィスへの入居では、賃貸借契約に加えて造作譲渡契約も締結する必要があります。後のトラブルを避けるためにも、譲渡品の一覧や状態、故障したときの責任範囲などを明確にしておきましょう。また消防法・建築基準法への適合状況や、原状回復の条件について確認しておくことも大切です。

 

オフィスの移転をお考えの際は「オフィス賃貸の総合窓口」へご相談ください。大阪・東京を中心に賃貸オフィス物件を多数取り扱っており、内覧の手配から条件交渉までサポートしていますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

【参考URL】

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監修者 安藤 雅規
監修者
安藤 雅規
株式会社エステートエージェンシー 代表
株式会社EAコンサルティング代表
宅地建物取引士

不動産業界歴20年以上。累計500社以上のオフィス移転・賃貸契約を支援。「経営者目線で失敗しないオフィス選び」をテーマに、本記事の専門性と正確性を監修しています。

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